読切駄文
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いつも一緒で痛かった
 知ることと考えることは、TRPGをする上において、最強かつ基本的な力でしょう。概念と数値、想像を駆使するTRPGにこれがなければ、良いゲーマーにはなれないでしょう。運?運は後からついてきます。
 知ることについてですが、TRPGの黎明期と今では、知識の取得について事情が違っていまして、つまりはネットと呼ばれるツールの存在が決定的な違いを作っています。
 ネット社会と言われるこの状況、知識は共有される物ですが、それがTRPGに何を引き起こしたか、その断面をちょいと見ていこうかと思っています。
とはいうものの、TRPG特有の殴り合いをさらっとおさらいしてみましょう。特に駆け引きって処のあたりを。
 TRPGの判定と言えば、ダイスを使うのが一般的ですが、ダイスを使う意味は何か?表向きは結果をランダムに返すと言うことでしょうけど、確率の学問的な視点から見ていくと、同じ条件(確率)の判定を繰り返せば、残酷なまでに確率通りの結果を出し続けると言うことです。
 例えば、皆様おなじみの2D6を使い対抗判定をするとき、能力値5と能力値8だったしましょう。能力値5の勝利がどれだけ儚いかわかるだろうか。(きっちり確率計算した結果、能力値5の勝てる確率は、23%ちょっと)
そう、四回に一回も勝てないのだ。
 ですが現状、これは「たかが3差」となってしまいました。表向き3差のある2D6の判定勝負に特技や超絶装備、加護奇跡神業etcetcっと、逆転要素がてんこ盛りって言うのが現状なんです。
 そう、特技って言えばキャラクター作成、加護神業はそれ+ゲーム中のリソースを使うわけですが、今日日当たり前に、ただでは勝てる気がしない相手を戦うのがTRPGの殴り合い、これぐらいが当たり前となってしまいました。
 そんな状況を前提とし、出来るだけそのリソースを有効活用することが、TRPG開始近くに行う駆け引きだと思うのです。
 本来なら、何が起こるかわからないTRPGのセッションの中、出来る限り最善の選択を(能力値や特技のチョイスだ)行いたい処ですが、一人で考えても名案妙案なんてなかなか出ないでしょう。
 なら、どうすればいい?最もやりやすい方法が、他人がどうやっているかを見せて貰うのが一番。
 ここでやっと本筋に戻りますが、今現在、TRPG上の知識知恵を他人様から借りる方法ですが、
1.いっしょに卓を囲んだ人を観察。
2.同好の志とそういった会話をする。
3.ネットに垂れ流されているその手の記事を読む。
 少々考えればわかることですが、三つ目の選択肢がかなりのくせ者で、昔々、個人では収集が到底不可能なほどの質・量の情報を、電子機器を介して集めることが出来るのです。
 ただ!これはこれで、一つ自転車操業じみた問題が出てくるのです。
 もしあなたが、ある技とある技もしくは、ある技とあるアイテム、といった類の組み合わせが非常に面白い(チート的)効果を生むことがわかり、実際のゲームで使えると気がついたとしましょう。それって奥の手にしときたいと思いませんか?
 奥の手・最後の手段・いい方はともかくここでは切り札としときましょう。そんな切り札の、重要な条件の一つが、その技を「誰も知らない」ということ。知っている人が少なければ少ないほど、切り札ってやつは価値が高いのです。
 ですが、そういった切り札を手に入れると、どこかで使ってみたくなり、その効果を誰かから「スゴい」何て言わせてみたい!という誘惑も同時に発生するんです。
 そんな切り札を一切隠さず発表したい!それならうってつけの場所があります。さあ!広大なネットの海があなたを待っています。アナタの切り札のすべてをネットの海に垂れ流しちゃいましょう。
 切り札の情報をネットに流し、その後待っていることと言えば、相応の知識のある人々が、その情報を元に対応策を考えてくれると言うことです。
 ある人はいとも単純な方法で、ある人は、さらなる裏技チート技を駆使し、そしてデザインした人なんかは、公式データの変更などの方法を持ってアナタの切り札に対する対応策を提示してくれます。
 そしてアナタのとっておきの切り札は、いつの間にか平凡な手法とされてしまえばいい方で、事によったらデータ的になかったことになる可能性すらあるのです。
 え〜今回のタイトルですが、「M」という楽曲の歌い出しをもじった物です。自ら編み出した技を世に曝し、世間の知恵者からさんざんなぶられ、ボロボロになったアナタの切り札を見ていると、アナタに「ドM」と微笑みかけたい。
 「私はそんな間抜けな真似はしない」という人もいるでしょうけど、世間はもっとシビアでしょう。
 アナタが思いついた切り札的な手法は、ほかの誰かも思いつくでしょう。ネット社会でその意味を考えればどうなるか。アナタがわざわざネットの海にその切り札を放り込まなくても、ほかの誰かがネットの世界に撒いてくれると言うことです。安心安心。
 Mが居る世界には必ずSも存在します。そのような人々が案外こんな事をしているのかもしれません。そしてネットに繋がるMな人々を、これでもか!って満足させているのでしょう。
 ネットの世界をのぞいてみれば、情報情報とそんな物があふれかえっています。それはもう違法な物から取るに足らない物まで、
 アナタが思いついた切り札の一つなんて、それこそ取るに足らない木っ端の一つ。
 それでもそんな木っ端一つで乳繰り合うMとS。それ以外の人々には住みにくい世の中になったようです。

22年3月会報掲載
11/03/31 00:24更新 /

■作者メッセージ
 何となく好きになれない歌。どっかのメジャー歌手の失恋ソングをもじる。
 歳だけは食ってますので、ネットというインフラが広がる過程に生きてきたわけです。
 でもまぁ、漏洩する情報はテキスト媒体がほとんどですから、それ以外のことはなかなか漏洩しないでしょう。
 それ以外って?それはそっちで勝手に考えて下さい。

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