読切駄文
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誰がために鐘は鳴る
 昔々の物語、世にTRPGなる物が産声を上げるちょっと前のお話。我が少年時代の厨弐の心をぶつける対象と言えば、シミュレーションゲームという分野でした。
 そのシミュレーションゲーム、ひょっとするとTRPG何かよりもよっぽど手間暇のかかるゲームとなっており、まぁ面倒くさいゲームでした。
 TRPGの戦闘をみっちり細かくやってるだけというゲームなモンですから、戦闘システムという面だけで言えば、バリエーションから規模からディテールまで、TRPG以上のことをしていたゲームでした。
 マップにチット(シミュレーションゲームの世界ではユニットと呼んでいました)を配置して、ユニットのスペックを見ながら対戦するというアレです。別の見方をすればゲーム機やパソコンゲームのSLGを、アナログならでわのきめ細かいギミックを盛り込む、なんてことをしていたのです。そこそこまめな精神を持っていないと、できないゲームなんです。
 そのシミュレーションゲームの手法の一つに、「ブラインドサーチ」という仕組みがございまして、どんなことをやるかというと、対戦者二人に同じマップを用意して、互いのマップを見えない状態で対戦して貰い腹の探り合いだけで、索敵をするっていうゲームのやり方なんです。
 そりゃもう、胃に穴が開きそうな心理戦だったわけで。どっかのTRPG見たくスペックだけでは絶対勝てないゲームでしたよ、本当。
 で、TRPGにも、胃潰瘍患者を養成できるようなシステムができない物かと考えるわけです。
 そこで、最近の主流っぽいロールプレイ指向(これが不服でしたら以下の文章は無しって事で)のシステムってヤツの、特に人と人との絆って部分を悪用して作れないかな〜って考えてしまうのです。
 TRPGのキャラクターを作るとき、人間的な方面の設定をするのがこの頃のTRPGのやり方で、ライフパスやコネクション諸々、そのキャラクターを表現する材料はそろえてくれます。
 が、他のプレイヤーやGMから見て、どのように見られているのか、またまたこんなヒネたテーマを盛り込んでみることとします。
 キャラクター一人につき、テーマを一つ設定します。それは他プレイヤーには隠しておきます。それでもって、セッション中にそのテーマにあった台詞やロールプレイを他プレイヤーにやらせる誘導を行なう。それが成功すればポイントになる。(答を言っては反則です)
 まー、忙しいゲームになるでしょう。なんせマイキャラをポイントとなるようにロールプレイする必要がある上に、周りのキャラのテーマを推測するため観察に次ぐ観察が要求されます。
 脳ミソフル回転でよろしく。
 TRPGがコミュニケーションするゲームならば、単なる世間話+αでは許してくれないでしょう。
 コミュニケーションが相互「理解」であるなら、上記隠しテーマの探り合いは、やって当然のお話で。
 単なる自己満足ではない、相手に判って貰うためのロールプレイ、そして相手の意図を正しく読み取る理解力。
 しかしながら、ここまで書いといてなんですが、間違ってもこんなギミックを盛り込んだゲームをやろうとは思わないでください。そう、やらないことを強く推奨します。
 三徹でドーピング無しの高速道路疾走の如く、卓全体を巻き込む玉突き衝突事故になるでしょう。
 ちょっとディープにTRPGを見ている人なら、ギミックが素晴しすぎるが故に、プレイ不可能なシステムがたまに存在するなんて事にあっているでしょう。
 今回も、これ以上ないってほどの机上の空論ダダ広げたわけですが、それでも、こんな戯言を書く人間より、もっと頭のいい人間が現れて、胃の痛い腹の探り合いゲームをプレイ可能にデザインして、世の中に放り出してくれればいいなと、そうも思うわけです。
 ホント、誰がために鐘は鳴る?。鳴り響く鐘の音に意味があるのなら、きっちり判ってあげたいと、そう思うのです。
11/03/31 00:09更新 /

■作者メッセージ
 昔々、ツクダホビーというゲーム制作会社がありまして、そこでは、メカアニメ物のシミュレーションゲームを量産しておりました。
 その中の怪作「SPT」が元ネタ。レイズナーですね。
 後はよくある「新しすぎるギミック」の揶揄。奇を狙いすぎると、ろくな目に遭わないですよ。

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