読切駄文
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原点回帰無期限延期
 名前は出しませんが、あるTRPGデザイナーさんの事。知っている人はすぐに分ると思いますが、そこはあえて出さない方向という事で。
 日本で最も古く、最も有名なTRPGシステムと言えば、D&DつまりはダンジョンANDドラゴンズでしょう。記憶が曖昧で申し訳ないのですが、某貧乏宇宙旅行TRPGが最古だったら、その辺りはご愛敬という事で。
 問題となるのが、ダンジョンの部分。
 昔々のシナリオ作成と言えば、ダンジョンの作成がメインでありました。具体的には、洞窟なんかの中に通路や部屋、トラップなんかのギミックを設定する。ストーリーを考える所は、ほんの少しだけだったんです。
 プレイヤーはそんな所で何を楽しむかと言えば、トラップなんかのオブジェクトやランダムで出てくるモンスターを踏み越えて、奥の財宝値打ち物を持って帰る事でした。
 ストーリーなんかは2,3から4の次ぐらいで、メインはダンジョン。これが主流でした。えぇ、その頃を知っている人にとっては、それはそれで非常に楽しいゲームができたのです。
 で、今はどうかというと、TRPGはストーリー展開を中心にシフトしています。
 ダンジョンをまともに回すのは、(愛好家には悪いのですが)その楽しさを知る古(いにしえ)の人々が大半と。
 まぁ、ストーリーを回して楽しむTRPGには、麻薬的な魅力があります。それを知ってしまうと、ダンジョンの楽しさが、霞んでしまった人もいたんじゃないでしょうか。
 そんなわけで、今のTRPGシステムはストーリー展開をしましょう、という作りが主流のようです。
 本題に戻ると、TRPGゲームの某デザイナーさんは、それでもダンジョンに潜るゲームがやりたいと、言っているようです。
 それがシステムに現れているのが、その方の某代表作でした。
 そのシリーズのアドバンス以降に作成されたシステムには、ダンジョン内にあるギミックをできる限りデータ化し、それを義務と言わんばかりに載っけておりました。
 そしてそのシリーズ、タイトルに「砦」の一言、つまりは迷宮ダンジョンをタイトルに掲げながら、あぁもドラマチックな方向へ突っ込んでいきます。これは皮肉なのか、それとも?
 タイトルにダンジョンを掲げながらも、ストーリー重視の流れに逆らえないように見えるのは、私の錯覚でしょうか。
 余談、当方TRPGゲーマーでありながら、リプレイが嫌いというへそ曲がりなんで、そこからの情報はわかりませんので、何か情報がありましたら教えてください。
 その次の代表作は、某MMORPGを元ネタにしたTRPGでしたが、それも当初はダンジョンに潜って貰うのを前提に作られたTRPGでした。
 そうなんですが、時代の流れ「ストーリーをしやがれ」の呪いは、予想以上に強かったようです。
 そのシステムについて、この頃の追加データなんですが、ダンジョンを前提としない戦乱物ベースの世界を用意したり、キャラクターその物にストーリー性を追加するようなデータを出してみたりと。
 これって、ダンジョンを必要としないか、演出の一手法と言う位置にまで持って行っちゃったんです。
 TRPGの原点回帰が、ダンジョンをその一つとするなら、原点回帰を目指すこの人の、この動きは何なのかと思いませんか。
 だったら「ダンジョンもストーリーも両方充実させたゲームをすればいい」と言われそうですが、時間や空間、人間の集中力や体力と行ったリソースを考えると、これって、形而上的なまでの理想的環境が必要になるんです。多分。
 TRPGを行なう場所がオープン例会やコンベンションと行った、時間と空間が限られた場所がメインで活動していると、仮にストーリーもダンジョンもみっちり充実させますと言われてしまうと、どれほどの消化不良が発生するか想像してしまいます。
 さて、他人事ながらダンジョンへの回帰ですが、現在ではドンキホーテ並みの行いと思えるこの動き、どこまで行けば、日の目を見る事ができるのでしょう。
 「ダンジョンがしたい」というデザイナーの意向は、ユーザーの「ストーリーを求める」という呪いから、いつ開放されるのだろうか。
 原点回帰は、無期延期と思えるほど、長い道のり。そう思う今日この頃です。

書き下ろし
11/03/29 00:41更新 /

■作者メッセージ
 勘のいい方はおわかりでしょう、セブンフォートレスとアリアンロッドの揶揄。
 TRPGの数値的なギミックと、ロールプレイへの要求が、両方とも肥大してきたと、最近のシステムを見て感じられて、この駄文ができあがったと。
 どっちも面白いんですけどねぇ。

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