読切駄文
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ハガネの下
 長い長いブームです。マスクをつけた単車乗りとか、5色一組の人々とか。今回の話は変身ヒーローのことですが、特にその中身、つまりハガネ(変身後)の内側のお話です。
 まず変身という言葉、「身が変わる」と書いて変身。何を当たり前なことを思われるでしょうが、特撮キャラ特有の気ぐるみという概念よりも、体そのものが変化するという概念をちょっと意識しておいてください。
 この変身を行った結果何が起こるかというと、身体能力が向上します。そう、敵と戦うために変身しているのですから、これは当たり前のことです。しかし、この目に見える変化意外に、もうちょっとだけ気にしておいたほうがいい要素があると思われるのです。
 例えば、TRPGのシステムに「サヴェッジサイエンス」というものがあります。どのようなシステムかと言うと・・・・異端と称される超科学(ほぼSF・ファンタジーレベルのことをやってくれます)の団体が全世界規模で活動している世界、その異端に対し対抗するのがPCということとなります。PCが、何を持って異端と対抗するかというと、PC自身が人以外の生物から人に変身する能力を持たされており、人の知力と基の動物の身体能力を持って戦うという物です。
 この「サヴェッジサイエンス」というシステムには、こういったルールがあります。ストレスにさらされると、基の動物の行動が出てしまういわゆる「奇行」を行ってしまうというルールです。
 このルールのいいたいことは、人に変身する能力を持つ動物といえど、その内面、特に精神や本能といった部分が、完全に人として適応し切れていないということです。
 さて話を元に戻しましょう。
 変身ヒーローの敵といえば、SFでファンタジーな能力を持つ強ーいやつ等です。しかしヒーローも負けてはいません。正義の心?と変身後の特殊能力をもって、ほぼ勝ち続けます。
 さてそんな彼らの中身、特に特殊能力を使いこなす能力は、どうなっているのでしょう?
 例えば、ビルの屋上から飛び降りてみたり飛び乗ってみたりといったことが簡単にできるとしましょう。その際、身体能力を制御する運動神経諸々は、普通の人間のものでは、とても対応しきれないでしょう。つまりは、外見身体能力の変身とともに、内面の神経精神面での変化がなければ、その能力が生かしきれないと思うのです。
 さっきまでは、神経方面のことをとやかく言ってるのに、「なぜ精神?」と思われる方もいるでしょう。さっきの例を取って考えると、ビルの屋上と地面の間の移動、それを出来て当たり前と思わなければ、そんなことやろうとも思わないでしょうし、命綱もなく地面にマットもないところに平気で飛び降りれるという精神構造がなければ、恐怖で体が動かなくなることでしょう。
 TRPGの世界でも、数は少ないながら、変身するキャラクターは存在します。戦うために変身は必要でしょう、そのためにその中身、特に心がどこまで変わってゆくものでしょうか?
 「変身しても、私は変わらない!!」と言い切れる自信がどこまであるでしょうか?
 変身した姿の心は、変身する前の心より、より戦い向き出ないと、力が発揮できないと思うのは、私だけでしょうか?
 あなたのキャラクターが変身を遂げたとき、その中身があなたの知ってるキャラクターであることを祈りつつ、締めといたします。
11/03/27 23:23更新 /

■作者メッセージ
 タイトルは神林長平様作「膚の下」より、
 変身願望をくすぐるのがTRPGなら、身も心もやってしまいましょい!ってのが正しい姿なんでしょう。
 そこんところのディテールを重箱の隅的な視点から眺めた、ってことで。

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