健全な魂は、健全な精神と、健全な肉体に宿る。と言うものだそうです。
そういったわけで、今回のお題は今のとこ話題のコミック「ソウルイーター」ということです。
大概のTRPGのキャラクターは強い。一般人とは確実にレベルの違う強さをもっている。ですが、その精神面のことを、ソウルイーターをダシにして斜め４５度から見てみましょう。
本作を知っていれば良し、知らないなら後で読むも良し、今回の文章の本旨がわかるなら読む必要はなしということで。
この、ソウルイーターのキャラクターをTRPGのキャラクターの造旨の点から見て最も興味深いところは、武器職人のほとんどが精神的な偏りや歪んだ所を持っていることでしょう。
例えば、自らを神か神を超えると言うほどの自信過剰なキャラがいるとか、シンメトリカルマニアにして乱雑恐怖症とも乱嫌悪症といえるキャラとか、金に対する中度の執着を見せたり、奇抜な髪型に強い執着を見せたりなどなど、主人公(ヒロイン)にしても人間の内面に対する潔癖症が見えるのは気のせいだろうか？
さてこのソウルイーターの世界は、武器職人たるキャラクターが武器となるキャラクターとユニットを組んで悪人の魂を狩る事を行っているが、武器職人なり武器そのキャラクターの年齢はほとんど中高生ぐらいの子供となっています。
その彼らの日常といえば、世界を滅ぼす鬼神なりかかった魂を持つ人、「鬼神の卵」を中心に世界の怪異を相手に戦うこととなっています。戦う技や身体能力はそれ相応の物を持っている彼らですが、その精神面は、健全な精神以上のものを持っているという訳ではないようなのです。それでも彼らを取り巻く環境は、健全な精神の許容を越える異常な環境といえるのです。
少年少女の健全な精神では受け入れがたい異常な世界、それをそのまま精神的に受け入れてしまうなら、いずれ精神に異常をきたし、まともな社会生活ができなくなるでしょう。
それ以上に、１個人として過剰なまでの戦闘能力を持つこととなる彼らに、精神的に壊れてしまう状況がどれほど危険なこととなるかは語るまでもないでしょう。
そんな世界に身を置く彼らが、最低限の正気を保つ方法。それが彼らの精神に現れる偏りや歪みではないだろうか？ここではそう仮定しときます。そう、そうやって健全以上のことに対し精神的な容量を広げざるをえないと思うのです。
TRPGのシステム、特にワールドの設定によっては、異常な世界で超常的な能力を振るう反面、普段では世間並みの日常生活を過す必要があるという世界が多いと思います。
そのような世界において、全てを当たり前としてどんなときでも淡々とすごすというロールもやり方のひとつですが、そのようなキャラクターに、深みも奥行きも無いと思ってしまうのです。まぁ、そんなものがへでもない超人的キャラクターだと言い張るなら別ですが（笑）。
日常と異常の狭間に位置し、日常を維持するための精神的な安全弁を持たざるをえないキャラクター。そのために異常な行動を推奨するとは言いませんが、そういったことを意識しながら、ロールプレイにつなげていく、そのほうがそのキャラクターの個性や魅力につながる、そんな気がするのです。
このところ、ロールプレイを要求するシステムが氾濫しています。そんなシステムを行う上で、ただ単調な調子（クールなだけ・熱血なだけ)なロールを行うよりも精神的なメリハリを持つキャラクターを見ているほうが興味深く面白く、何よりカッコよさが引き立つ、そういったキャラクターになると思うのです。
えぇ、何事も一本調子だと飽きられますよ。

■作者メッセージ
　時々のマイブームを駄文にするのは、常套手段。お題は、ソウル＝イーターです。
　見た目は軽いポップな絵柄でガンガンバトルする感じなのですが、全体を通して「狂気」の存在が人々を歪める物語です。
　このあたりから、「TRPGのキャラ強い」を揶揄したくなったと思います。